42人が本棚に入れています
本棚に追加
/416ページ
「あ、あのぅ、不破くん……?」
ぼーっとしていた不破くんに恐る恐る声をかけると、私の声でハッとして私の顔をしばらく見つめたあと、
「……なんだよ。俺の顔がそんなにかっこいいか?」
ニヤリと笑いながらぐいっと顔を近づけてきた。
「……は?」
「じーっと見つめてたろ?俺の顔に見とれてたんじゃねーの?」
「なっ、なに寝ぼけたこと言ってんの!勘違いしないでよ!」
「なんかその言い方ツンデレみてーだなー」
くっくっと笑う不破くん。
なんなのよこれは……
一瞬だけ見せたあの寂しげな表情は、ただの幻……?
でも、これ以上は家族のこと探れそうにないな。
ただコイツの周辺を探れば、記憶なんてすぐに戻るだろうと思っていたのに。
状況は思っていたよりもずっと厄介になるのかもしれない───
最初のコメントを投稿しよう!