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裏切り
「あなた…誰?」
彼氏ルカのマンションで寛いでいる時に、突然鳴った玄関チャイム。
ドアを開けた。
ぽっちゃりとした、可愛らしい子が立っていた。
そして開口一番が、これである。
…誰って…自分が名乗るのが先でしょうが。
ここに居るってことは、察しなさいよ。
「あなたこそ、どちら様?」
“ぽちゃりした可愛い子“略して、ぽちゃ子…に対して大人気なくも眉を顰めた。
だって名乗らねーんだもん。
この状況で、確実に優位でマウント取って良いのは、どう考えても、こっちの方だ。
「どの様な御用かしら?」
なのに…この子と来たら、全く驚きもせずに、堂々としてやがる。
「この間、泊まりに来た時に,イヤリングを忘れちゃったみたいで、えへへ…探しに来たんです」
…なん…だと?
ぽちゃ子、さらっと宣戦布告。
…然も笑ってやがるぜ?
その一言で、とても動揺。これってどーよ?
…ルカが浮気!
「兎に角…外は寒いでしょうから…。」
パニック寸前なのをひた隠し、大人の余裕を見せる。
「中へどうぞ…。」
…‼︎
ぽちゃ子は、真っ直ぐ寝室へと向かう。
…ちょっと…待て?
何度も出入りしてるのは明らかだ。ここで早くも大人の余裕に、皹が入り始めた。
…一体ルカったら、何やっちゃってくれてんの?!
寝室のドアに寄り掛かり、ぽちゃ子の分厚い背中を眺め、苛ついている自分の姿が、クローゼットの鏡に映し出された。
鏡の中の自分。
…夢なら今、覚めるべき時だ。
ああ…でも悲しいかな…これは現実。
ぽちゃ子は、ゴソゴソとベッドサイドを探し、すぐにそれを見つけ出した。
「あった♪良かったぁ」
身体に似合わず、綺麗な細い指で、キラキラ光るピアスを摘んでミカに見せつけた。
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