元気いっぱいモリモリ珈琲

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 マスターが挽いた豆に湯を入れながら話を続ける。 「私はその時のことを常に思い出すようにしているんです」 「どうしてですか?」 「優しくて元気で希望に満ちた少年に命を救われましたから。絶対に忘れたくないんです」 「そんな少年に出会いたいものです。 今の僕は、仕事に追われ希望がないですから」  男は、はははっと苦笑いをしカウンターの席に戻る。 「会えますよ」  そういってマスターは、淹れたての珈琲を出す。 「こちら、元気いっぱいモリモリ珈琲です」  男は、ハッとしてマスターを見上げる。 「この珈琲は、私もあなたもみんなが元気になる珈琲です」 「マスターもしかして」 「えぇ。あの時はありがとう。そして、いらっしゃい。待ってたよ」  珈琲屋を後にした男の目は、あの頃の少年の目をしていた。  見上げた空には満天の星が輝いていた。
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