エピソード1 バサラブ氏、友人を作る(一方的に)

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そういえば、今日は何を食べたっけと考え、睦月はゴミ箱に突っ込んだカップラーメンのカップを見つけた。 しまった・・・仕事の納期が迫っていて、簡単に済ませられるもので適当に済ませちゃったんだっけーー そう思うと、にわかに空腹が沸き起こってくる。 冷凍にしてある食パンでは収まらない気がして、睦月は簡単に髪をとかしてショルダーバッグに腕を通す。 ぱっと行ってぱっと帰ってくるだけだし、サンダル履きでもいいよねと部屋を出て鍵をかけた。 エレベーターのボタンを押して待っていると、すぐに階上から降りてきた。 ラッキーと思った睦月は、すぐに後悔した。 そこには、見るからにおかしい外国人が乗っていたからだ。 7月のとんでもなく暑い深夜、黒いコートを着て汗一つかいていない。 2メートルはありそうな身長に、がっしりとした肩幅で、一見熊を連想させる。 すぐに目を逸らしたので、年配のわりには髪が黒いけど外国人てそうなのかな、日本人が羨ましがるよなあとか、目が赤かった気がするけど夜だし見間違いなのかそんな色の目が本当にあるものなのか、外国人侮れないなどと体を固くしながらぐるぐる思考した。
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