エピソード0 バサラブ氏、居座る

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「しかも、簡単に笑い、簡単に怒り、簡単に泣くという精神状態が常に不安定という日常生活の中で、なんと、繁殖行為まで行っているのだ。娯楽に貪欲で、食は雑食、大概のものは食べてしまう。息ができんくせに水に潜り、空も飛べんくせに機械で空に進出する。見ていて飽きないではないか。そんな生き物を観察せずして、人生の楽しみはどこにあるというのかね。」 何度でも繰り返すが、はっきり言って迷惑な話なのだ。 見ていて飽きないとは、余計なお世話だ。 それに、半永久的な時を年もとらないまま生き続けることが可能な吸血鬼が人生を語るとは! にもかかわらず、見ていて飽きない、ただそれだけの理由で、この吸血鬼は来日し、それ以来味をしめたのか日本に移り住んだ仲間に何かあるとそれを口実にやってくるようになった。 つい先日も、日本に長く滞在している仲間が面倒ごとに巻き込まれたので、高見の見物をしに来たのだ。 だが、ただ見ているだけでは面白くない。 バサラブは参加型なのだ。 楽しいことには。
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