エピソード3 バサラブ氏、少年と出会う

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中古マンションを購入し、睦月という友人を得たことで、バサラブの毎日はかなり充実した。 どうしてこんなことをしなくちゃいけないのとぼやく睦月を連れ出し、自分の部屋の家具を選ばせた。 「そこそこのものでよい。わしの部屋に合う家具を揃えてもらいたいのだ。イメージは、睦月くんの中のわしで。」 「あのですねえ・・・」 その注文に、睦月はふるふると震える。 バサラブのイメージは、とにかく高級。 アンティークも似合う。 絶対にオーダーメイド家具か年代物の芸術品。 だというのに。 「ホームセンターでそういうリクエストはやめてください!無理!」 「一度訪れてみたかったのだよ。ここは何でも揃っているではないか。さあ、睦月くんや。ついでに君がほしいものを何でも揃えてかまわんよ。経済的な援助も、友人としての契約に含まれておる。」 誰か彼にわからせてやってほしい。 友情は、契約ではないと。 そして、経済的援助をするのはスポンサーの仕事だと。
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