エピソード0 バサラブ氏、居座る

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最近ではとんと見かけないが、自分に敵対する妖怪化け物の類いをこれまでずいぶんと手にかけては跡形もなく消し去る、もしくは残骸を使い魔の餌にするなどの処分を行ってきた。 ゴミを出さない吸血鬼、特になまものは自己処理というある意味歩くエコなのだ。 ゴミ出しの帰りに顔をつき合わせて談笑している主婦たちを眺め、もしやこれは毎朝のように繰り返されるのだろうか、よく話すことがあるものだ、もしや何かの情報交換などと感心しきり。 使い魔たちが人の姿でカーテンとベッドと家庭用ワインセラーを購入しに出掛けている間も、日がな一日マンションの人間の出入りを観察し続けていた。 こんな胡散臭い外国人がマンションの外にい続けて、よく通報されないものだと思うが、そこは1000歳の吸血鬼、自分の姿をちゃっかり消していた。 知り合いふれあうにしても、まずはここの人間を知らねばという観察から入ってくれたことだけは評価する。 評価するが、姿を消しているから当然人からは見えない。 見えないということは・・・ 「・・・やはりつまらんな!見ているだけというのは飽きる!」 飽きたのは、マンションの人間観察を始めてからちょうど10日経ってからのことだった。 いや、むしろよく10日も飽きなかったと思う。
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