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エレベーターという閉鎖空間。
それが稼働してボタンを押した階に止まるまで1分もない。
しかし、逃げ場もないのもまた事実。
そんな中で、バサラブは哀れな犠牲者ーー彼にとってはこのマンションで記念すべき友人となるであろう女性をじっくり観察した。
身長は彼よりずっと低い、おそらく160センチメートルもないだろう。
痩せて、異性を惹き付ける女性特有のボディーラインの凹凸は控えめだ。
これはもしや、財力が不足して満足のいく食事がとれていないのではなかろうか?などと、セクハラとはまた別の意味で非常に失礼なことを考える。
いや、セクハラという概念は、バサラブにはない。
人間が大好きなくせに、滅多に人間に性的興奮を覚えない。
何故なら彼は博愛主義者、人間以外の生命体、哺乳類も鳥類も爬虫類も両生類も魚類も、それ以外の種族、たとえば植物までも同等に好きだ。
自分のことを愛に溢れた吸血鬼と断言して憚らない彼は、その好きという感情ゆえに観察と交流という手段をとる。
そこに、相手の迷惑という概念がないまま。
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