エピソード1 バサラブ氏、友人を作る(一方的に)

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「友人になるのだから、彼女の行動範囲も知っておいた方がよかろうなあ。それと、5階から乗ったということは、彼女の部屋は5階にあるに違いない。」 友人と言っておきながら、発想はどんどんストーカーチックになっていく。 「ネグル。おまえ、ちょっと5階に行って、彼女の部屋がどこか探ってきなさい。」 呼ばれたネグルが、バサラブの影の中で聞こえない声で返事をする。 一筋の黒い煙が、影からするりと立ち上って消えた。 「さあ、出掛けよう。彼女はいったいどこへ出掛けたのかな。あのような軽装だ、遠くへは行っておらんはず。」 鼻唄でも歌いそうな上機嫌で、バサラブはマンションの入り口を出た。 上原睦月は、マンションから700メートルほど離れたコンビニにいた。 つい10数分前、部屋でしていた仕事の手を止め、時計を確認した。 凝り固まった肩や首をごきごき言わせながら立ち上がり、冷蔵庫を覗く。 「あちゃー・・・買い忘れてたかー。」 ミネラルウォーターも炭酸飲料もアルコールの類いもない。 牛乳はあるが、これは明朝までとっておくものだし、あとグラス1杯分しかない。
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