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「それは彼女に対し、失礼ではないだろうか。」
聞いていたバサラブが、口を挟む。
『そうよそうよ、言ってやってください!こっちがどんな格好をしていようが、襲っていいなんて理屈あるわけないんだからね!性犯罪者の味方か、てめえはあ!』
睦月は、思わずバサラブの方に寄った。
それを見ていた警察官たちの目が、険しくなる。
「あー、外国人?キャン・ユー・スピーク・ジャパニーズ?アンダスターン?」
拙い英語を警察官は半ば小バカにしたように話したが、バサラブはとっくに日本語でしゃべっている。
「パスポート、プリーズ。あるの?ないの?不法入国者?彼女とどういう関係?君、外国人相手のウリ?」
「はあ?」
今度こそ、睦月の顔が怒りで真っ赤になる。
他に被害者を出さないために呼んだ警察官から、どうしてこんな失礼なことを言われなければならないのか。
しかも、知り合いでもないのに自分を助けてくれた善意の塊の(と彼女は思っている)外国人まで侮辱されるなんてーー!
抗議しようとした睦月を、バサラブが自分の背に隠すように前に出た。
「ふむ。役に立たんのであれば、ここにいても無駄というもの。もう行きなさい。」
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