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何をと目を剥いた警察官二人の顔が、ストンと無表情に変わる。
その変化を、睦月は見ることが出来なかった。
「はいその通りです。」
「戻ります。」
機械のように言葉を発すると、警察官たちはパトカーに乗り、行ってしまった。
パトカーが見えなくなってから、睦月は思いきり叫んだ。
「もう・・・!役立たずー!ばかー!」
「おお、勇猛な。しかし、そのように叫んでは、レディーの品格を貶めることになる。」
ふむ、そうだな・・・とバサラブは思案した。
「先程何やら買い物をしたと思うが。荷物はよいのかね。」
「あ!」
襲われて落としたままになっていたコンビニの袋を、睦月は探した。
探して、また喚く羽目になった。
「弁償しろー!警察ー!」
警察にレシートまで見せておきながら拾い忘れていた食料の袋は、バサラブが命じたあと不自然に発進して蛇行しかけたパトカーに挽かれていた。
「あああ・・・おにぎり・・・缶酎ハイ・・・」
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