エピソード0 バサラブ氏、居座る

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超がつくほど有名で誇り高い一族の長であるバサラブは今、日本の都心のとある不動産屋の前でぶつぶつと独り言を呟いていた。 しかも、日本語で。 そもそも、どこからどう見ても外国人にしか見えないのに、流暢な日本語を駆使している胡散臭さ。 2メートルを越える長身、肩幅も広く彫りの深い顔立ちは、紛れもなく外国人。 豊かな黒髪をライオンのたてがみのように後ろに流し、髭の生えた顎を指先でとんとんと叩く。 年齢は50代くらいに見える、そう、あくまでも外見は。 中身は、1000歳を越えるとんでもない長命な化け物なのだが。 そんなバサラブは、赤い瞳を輝かせるほど非常にご機嫌であった。 「2LDK?これは何というペットの小屋かな?まさかこのような間取りで人間は生活できると?おお、この国の人間はなんと効率よくできているのだ。」 全日本人に謝れ。 「だが、これくらいの方がいいということだろうか。邪魔くさい華美な装飾とやたら使いにくい歴史的価値のある家具に無駄に広い居住空間など、あの陰気くさい城で十分。」
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