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「そう言えば名乗ってなかったね。私の名前はレーネ。ヴァイス君、宜しくね。」
レーネは笑顔でそう言った。
「私はヴァイス、宜しく。」
「そう言えば、ヴァイスは記憶喪失なんだっけな。
明日は俺休みだし、巫女様の所に連れていけば何か分かるかもしれないから行ってみようと思う。
姉貴はどう思う?」
「記憶喪失!?大変じゃないの。」
「そうなんだよ。実はヴァイス、裸でサブ湖に居たんだ。ほら最近首都から人が逃げてくることが多いからじゃん。
もしかするとヴァイスもそれに巻き込まれたんじゃないかって思ったから放っておけないと思ったから連れてきたんだけど、首都から来たみたいだし早めに解決出来るならした方がいいと思ってさ。」
「そうね。首都からここまでってことはもしかしたらってこともあるし。でも巫女様の所空いてればいいのだけれど、行く意味はあるんじゃない?」
「だよな。巫女様なら記憶を戻すとはいかなくても、何があったか、何があるかなら分かるかもしれないよな。」
今更実は……等とは言えず、私の入る余地も無く話は進む。
「白い髪と肌、そしてその碧眼。
この街の人間ではないとは思っていたのだけど、首都からいらっしゃってたのね。
首都には貴方みたいな見た目の方が他にも居るのかしら?
なんて。記憶がないんだもの答えられないわよね」
碧眼。そこでようやく私は己の容姿のほぼ全てを知れた。なるほど、皆が物珍しそうにみるだけある。
しかし、それよりも気になるのはその巫女様という存在。
「巫女様とは一体……。」
この街にそんな超人的な力を持った人間がいるとは私は考えたことは無かった。
いや、仮にもしもそれが本当だとするならば記憶喪失という嘘がバレて話がややこしくなる可能性すらある。
その時は逃げればいいだけではあるが、友好的な人間にそうそう会えるとも考えられないため、面倒な事態だけは避けたい。
「巫女様はこの街に居る神の使いらしくて色んなものが見えるらしいんだ。
この地には神の使いである巫女様と、白い龍神様がいらっしゃって天からは龍神様が地では巫女様が俺たちを護ってくれてるって言われてるんだ。
巫女様は先代までが元々首都に居たらしいんだけど、何故か今の代はこの街に住んでるんだよね。
俺たちからしたら、助かる話だけど。」
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