絶望と光

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チッ──。 達也は舌打ちをした。 「お前ら見てると吐き気がする!! 言われなくても帰ってやるよ」 達也は私達を睨みつけると,一度も振り返ることなく帰って行った。 私はそんな達也の背中を黙って見つめていた。 噛んだ唇から血が滲んでいたのだろうか,いつの間にか口の中は血の味がした。 「……ぅッ……ッ」 達也の姿が見えなくなった頃,私は泣き崩れた。 見た目も心も変わり果ててしまった達也にショックを受けた。 悲しかった──。 悔しかった──。 私は付き合っていた頃の思い出全ても否定されたような気分だった。 たくさんの思いが一気に押し寄せ,達也の前では我慢していた涙を抑えることができなかったのだ。 「奈津美………」 巧が私の目の前に座り込んだ。 そして次の瞬間, ギュッと巧に抱きしめられた。 「奈津美……もういいだろ……。これ以上自分傷つけるなよ。 わかるだろ?アイツはもう昔の達也じゃない」 「…巧ッ……ッ」 巧も泣いていた。 *
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