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ノッポちゃんとおチビちゃん
『25週と6日。
ノッポちゃん、順調。おチビちゃんは……変わらず』
“ママ”の声が、今にも泣きそう。
ねぇ、どうしたの?
時々そうなんだ。
そんな時はきまって、僕まで泣きたい気持ちになる。
僕の耳に、時々聞こえてくる
“おチビちゃん”、という存在。
目が開けられるようになって、
僕はすぐに気がついた。
僕の隣には、もう一人他の誰かが居るんだ、と。
そうか……
こいつが“おチビちゃん”なんだ。
おーい!ねぇってば、
こっち向いてよ。
何度呼んでみても、反応はない。
まぁ、壁越しじゃあ仕方ないか……
僕は、
時々隣のそいつを気にしながら、一日一日を過ごした。
僕の隣人は、よっぽど恥ずかしがり屋なのか、それとも寝るのが好きなのか、
ぎゅっと身体を丸めて顔を隠したまま、ピクリともしない。
段々と窮屈になってくる僕の部屋に対して、
“おチビちゃん”のほうは随分と余裕があって広そうだ。
ねぇ、君は誰なの?
僕たちは、
どうしてすぐ隣に居るのに会えないんだろう。
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