僕のおとうと

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僕のおとうと

それからしばらくして、僕は知った。 おチビちゃんは、僕の双子の“おとうと”なんだって。 『30週と1日。 ノッポちゃんとおチビちゃんの出産予定日が決まった。…………』 『大丈夫か?辛ければ書かなくても……』 『ううん……平気。私が残したいの。』 『……そっか』 ママの次に良く聞く、“パパ”の声もする。 壁のすぐ向こうで、 温かな二つの手のひらの感覚。 そして、反対の壁の向こうで、 一度も動くことのないおチビちゃん。 僕は、悟った。 僕のおとうとは、 外に出るのを待たずに、還っていってしまったんだ、と。
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