突然のfalling love

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「俺カッコイイかな? そんなことないよ。リコのがずっと可愛いよ」 「それ、営業トークってやつでしょ」 「違う違う。だって俺、リコが信号待ちしているとこから絶対声かけるって決めてたもん」 「うそ」 「ほんと」  言って、その時、テーブルに瓶ビールが届けられた。カズは自分の分と、梨子の分のビールを注ぐと、 「はい、乾杯」 「うん、乾杯……」  二人は、そっとグラスを重ねた。カズはグラスをくいっと傾けて、一気にビールを流し込む。  梨子は少し飲むとカズを横目で見た。その目は綺麗で、カズに声を掛けられて初めてホストに来てみたが、よかったかもしれないと思った。  合コンでも、会社でも、こんなカッコイイ人なんていない。これが三千円で味わえるならいいな、とその時梨子は思っていた。  ミラーボールと壁の鏡が青色に反射していたが、急にその色が赤色になった。
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