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富永梨子は、今日も仕事が終わったあと、同僚たちと一緒に四対四の合コンに参加していた。
元カレと別れてから、早一か月。大学を卒業して、二年が経ち、高校時代から付き合っていた、一樹と先月別れた。理由は一樹が仕事の関係で、遠距離恋愛になってしまい、うまくいかなくなったところから、一樹から別れを告げられてしまった。
梨子は月に一度、会えるだけでも良かったのに、一度喧嘩してから、気まずくなったかと思うと、一樹に好きな人が出来たと言われたのだった。
その鬱憤を晴らすためにも、同僚たちが誘う合コンに片っ端から参加していた。
今日は、肉バルでの合コンだ。
梨子はチーズフォンデュをパンにたっぷりチーズを付け、口に丁寧に運んだ。今日の服ももちろん、勝負服。そんな戦闘服を着ていても、心は明るくなかった。
女をアピールする、ワンピースも、ヒールの高いパンプスも、ブランドものもバッグも、定期的に変えるネイルでさえ、自分の心の空洞を埋めてくれるものなどなかった。
「ちょっと、梨子。あんた食べてばっかりで、男子とももっと会話しなよ」
そっと耳打ちしてくるのは、有吉佳乃、同期入社の同僚だ。あとの参加者は梨子と佳乃の先輩OL。気を使いながらも、先輩たちは、広告代理店のエリートたちと楽しそうに、塗りたくったリップを気にして、お酒のグラスを傾けている。男子たちも、梨子より色気のある先輩方に夢中だったし、梨子はチーズフォンデュに今度は肉を付けると、
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