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梨子は家に着くと、コートを脱いですぐにベッドにダイブした。そのままスマホを取り出すと、チャットアプリを開いて、佳乃にチャットする。家に帰ったら余計に酔いが回っておぼつかない手で触れる。
『お疲れ。明日空いてる?』
そう入力すると、枕に顔を埋めて、ため息をめいいっぱい吐く。相手は佳乃だ。
梨子は、自分の気持ちに対して、どう向き合えばいいかわからなくなっていた。
カズのことはとても魅力的だが、昨日今日使った金額を思うと、頭が痛い。それに、まだ会って二日だ。
これが恋かと云われると、特殊な場所での出会いというのも相まって、それが、錯覚しているだけなのか、梨子には自信がなくなっていた。
会いたいか、会いたくないか、と云われると、勿論会いたいし、もっとカズを知りたいと思う。
でも、実際、この二日でなくなったお金は、大金で、貯金も少ないボーナスを貯めているだけで、そんなにもう、残ってはいない。
梨子は部屋に一人帰ると、冷静になっている自分に驚いた。
だからそのことも相談したいと思い、同僚でもあり、友人でもある佳乃連絡したのだった。
それからごろん、とベッドの上で転がると、スマホがバイブした。
『おつー! どうしたー?』
端的に返事が来ると、すぐにスマホを手に取り、返事を贈る。
『明日空いてる? 空いてたらランチしない?』
そう返すと、すぐにレスが来て、
『いいよ。明日いつものレストランに1時でもいい?』
それから梨子はスタンプで「OK」と送ると、スマホを置いた。それから梨子はまた枕に顔を埋めて、はあ、とため息を漏らした。
カズの顔がおぼろげに見える。
お金を使ったけど、それでも、合コンよりも長い間、一緒にいられるわけではない。
本当に、また外で会ってくれるのか。でも、自分に好意的なカズを思うと、信じたくなる。でも、でも。
そんなことを繰り返していたら、そのまま梨子は眠りについた。
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