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佳乃はキャバクラの面接に向かっていた。
求人サイトで見つけた「時給六千円」と書かれていたキャバクラに電話をし、仕事が終わったあと、約束の七時に間に合うように、定時に仕事を終えて、カフェで時間を潰して繁華街に行った。
梨子とは職場で、あれから気まずく、梨子は声を掛けようとしていたが、それを振り切って、今に至る。
繁華街の中に足を踏み入れると、JUJUにいたような女性が沢山いた。
佳乃は、オフィスカジュアルな服装、ジャケットに、シャツ、パンツという、いつものスタイル。佳乃は梨子と違って、ショートカットのヘアスタイル。化粧は、一応、直してきたつもりだが、まだ薄いかもしれない。
そう思うも、繁華街の雑居ビルの看板を見て、「Club COCO」と書かれた看板を見て、四階にあることを確認すると、エレベーターに乗ろうとしたときだった。
「お姉さん、ちょっと良いですか?」
と、後ろから声を掛けられた。佳乃は怪訝な顔をして、後ろを振り返ると、シャツ、ジーンズというラフな格好の若い男がそこにいた。
「……なんですか」
佳乃は訝しんで声を出すと、その男はにっこり微笑むと、
「ここの店の人?」
ビルを見て言うと、佳乃はかぶりを振って、
「いえ。面接に来たんです」
言うと、その男はより笑顔になり、
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