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中学生の西野。
背は昔から高い方だったかと。
絶対音感があったので都会での喧騒に耳が耐えられず、田舎の祖父母のところへ引っ越しました。
※※※
「啓二は、神さまって信じてる?」
逆に質問され、西野はキョトンとした。それから細長い腕を組む。
「そうだな。いるとは思う」
考えながらポツリポツリと答え、西野は故郷のことを思い出した。
彼の祖父母のうちの裏には山がある。引っ越したばかりの時に山を散策しようと思った。ところが、ある一定の深さまで行くと、その先に足を踏み入れるのが怖くなった。
帰れなくなるような。
ここから先はダメだということを、体が感じ取った。
「その時のことを祖父さんに話したんだ。そしたら、思いがけないこと言われた」
「何て?」
沖島が興味深そうに前のめりになる。
「『自分たちは、ある場所に住むことを許されてるだけなんだ』って」
その時初めて、西野は人間を超えた何かの存在について考えた。
ーー「木の組曲」より
着てるのは「アジダス」。笑
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