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エントランスの重厚な扉を押し開くと、照明がまぶしいロビー、その奥にライトアップされた薔薇園が見えた。目線を下げると花壇には鈴蘭やポピーが風に揺れて咲き乱れている。案内状には結婚式も行う会場だと記載されていた。納得のロケーションだった。 ロビーにはたくさんの同級生でごった返していた。最後に会ったのはおよそ十年前だから、誰が誰か瞬時に判断はできない。皆、当たり前だけれどちゃんと社会人になっていた。ドレスを身につけ、きちんと化粧をし、ピアスや指輪を付けている。そして少し老けていた。あの同級生たちのほとんどが参加しているなら六十名近くいることになる。知り合いを探すよりとりあえず受付に向かうことにした。 「マキちゃん!!」 受付係の女性が両手のひらをこれでもかと高速で振る。小柄で色白でそばかすが頬と鼻に散っているおかっぱ頭。 「わたし!!ヤマザキ!!」 思い出した。うるさいくらいおしゃべりで明るくて関西圏出身でもないのに阪神ファンを公言していた山崎さんだ。 「久しぶり、山崎さんも同窓会の幹事だったんだね」 「そうそう、三年の文系クラスのメンバーで集まった時に学年全体の大規模な同窓会やりたいってなって、そこから半年がかりで全員に連絡取ったんだー。大変だったんだから!女子校だから半分くらい結婚して苗字変わっててさぁ!」     
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