グラス。

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ガチャンッ!! 激しい音でグラスが割れた。だからいつも言われるのだ。 「お前はカップはプラスチックにしろ」と。 まるで子供を叱るお父さんのような彼は、それでも私の五つ下、27歳だ。と、いうことは。私はもちろん32歳。もういい加減ちゃんとした大人にならなければならないのだけれど、子供のままでストップしている。 「あーあ、また割っちゃった。もう買わなきゃグラスないなぁ。プラスチックだとおいしくないし、コーヒー」 独り言を言いながらスマホを手に取り、ぽちぽちぽち、とタップしながら操作を進める。 「注文を確定していいですか?」の文字が画面に映る。 「OK」を、躊躇いなくタップしてしばらく待つ。メールの受信を。 ピコン。 「一通のメールを受信しました」 スマホの画面に浮かぶ文字。操作を進めながらお財布の中身をチェックしてカギをもって部屋のドアをガチャガチャと閉めて、私はコンビニに支払いに行った。 新しいグラスは三日後に届くとその後メールで通知が来ていた。
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