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太陽の王子様
◎太陽の王子様
次の日の早朝、家の電話が鳴った。
まだ、ベッドの中にいた玲子はサイドテーブルに置かれた目覚まし時計を手繰り寄せた。
ーーー6時……。こんなに早く誰だろ?
目覚まし時計の横にある電話の子機へ突っ張るくらいに手を伸ばした。普段、あまり使わないからと、奥へ置き過ぎたなと玲子は後悔した。
きちんと起きればいいのに、玲子は寝たまま子機に手を届かせようと頑張った。
やっと、子機にたどり着き玲子は目を閉じたまま耳にあてた。
「…は…い」
玲子の瞼は、電話の向こうから聞こえてくる声にパチリと大きく見開かれた。それどころか、ものすごい速さで、上半身をベッドの上に完全に起き上がらせていた。
「え? と、智也、今何て?」
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