白羊宮

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白羊宮

おいでよ 一緒に眠ろう 夢の世界 全部全部 忘れていいよ やっほー するっと通り抜ける人は ああ聞こえなかったのかな それならば次はもっと 大きな声で届けよう もっと大きく もっと強く おはよう 机の上 散らばったゴミと消し屑は これ捨ててってお願いだきっと 頼りにされてる よかった またね 挨拶の拍子にぶつかってしまって血が滲む 目をそらす音 駆け出す皆 先生呼びに行ったのかな 優しいね ただいま今日も楽しかったよ 皆すごく優しくて 私のことを頼ってくれるの 明日が早く来ないかな なんてね、また愛想笑い おやすみ 目を閉じれば花開く夢の世界 君が笑っている メリーゴーランド 白馬は駆けて シャンデリアは眩く 世界が回る キラキラ輝く 君は隣で 私に届く光を見て微笑む ホロスコープ 星は巡り誰かを謳って 水晶玉は眩く 何だってできそうだ この夢の世界 楽しくてたまらない 夜よ終わるな 何だってできそうだ この夢の世界 嬉しくてたまらない 夜よ続け 何だって笑えそうだ この幻想(ゆめ)の世界 嫌なこと忘れて、さあ 夜よ広がれ 君と手を繋ぎ 今日も今日は光る また目をそらされた 大丈夫、ちょっと照れているだけ また聞こえないフリだ 大丈夫、ほんとに聞こえなかっただけ またいつの間にか独り 大丈夫、たまたま気づかれなかっただけ 明日は話せるかな 明日は遊べるかな 明日は誰かと一緒に帰れるのかな ただいま今日も楽しかったよ 皆すごく優しくて 私のことを頼ってくれるの 学校って素敵だね なんてね、また嘘笑い 嫌なことが積み重なって 上手くいかないこと続いて こっそりいつも泣いているんだよ 誰も気づかない 「あなたなら大丈夫だから」 「もう赤ちゃんじゃないんだから」 「あなたがしっかりしてくれて助かるわ」 なんて馬鹿みたい 裏切られ 嘘ついて 傷つけられ 決めつけられ 誰も悪くないって言い聞かせても やっぱり自分が嫌いだ。 おやすみ 君は言う「大好きだよ」 君は言う「辛かったね」 君は言う「大好きだよ」 君は言う 何度だって 君は言う 笑顔で 嫌なもの 何一つ見たことないような顔で 「ありがとう」と。 私は思った 弱く弱く 「うそしかつかない人たちが今日も裏切った」 「まわりが私のこと全部決めつけてる最悪」 「れんせんれんぱい嫌な事が畳みかけてる」 「てきが多すぎて押しつぶされそうだ」 「きたなすぎるよ世界も私の心も全部大嫌い」 「てのひらにまだ痛みがのこって泣きそう」 「よろこびとか楽しみとかそんなもんないよ」 「かなしみより憎しみの方が多いとか私最低」 「っざけんなもうやだ邪魔にしかなれない」 「たすけてだれか」 想えたんだ 強く強く 大好きだよ。 ねえ おやすみ おはよう 今度の笑顔は愛を想う笑いじゃなくて 愛に想われる笑み もう大丈夫 君が居るから 回る巡る世界で また君に出会えたこと この夢の世界 幻想なんかじゃないの ある日私の辛い世界に 一頭の羊がやってきた ふわふわとやわらかく温かな 優しさをまとって そよそよとおだやかで綺麗な 安心で見つめて そして彼は私を背にのせて 夢の世界を巡った 綺麗なものが 楽しいことが たくさんあった 辛すぎて嫌すぎて消えたくなった世界は 一つ返せば優しさに溢れていた 彼は最後に笑って言った 「君は生まれてこなきゃいけなかったんだ」 そんな 素晴らしい存在なんだ そして彼は小さく眩しい 明日をくれた。 夜よ終わるな 明日になればいい 早く早く一秒でも速く 明日がくればいい 楽しみで仕方ないね だってきっと明日 目覚めたら晴れているはず 夜よまだ待って 明日をくれればいい 速く速く一秒でも早く 明日がほしいんだ 楽しみで仕方ないよ もう大丈夫だって信じてる 君を信じてる だってきっと明日 目覚めたら一歩目は怖くないはず だってきっと明日が 痛くても君は また私に 世界一幸せな夢を魅せる。
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