双子宮

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双子宮

私と違って何でもできて 私と違って人に好かれて 私と違って夢を持ってる 君がいなければ。 こうして並べば皆見分けがつかないのに いつだって君ばかりが褒められて いつだって君だけが主人公 凄い家族だと友には胸張ってみせる 恨んだことなんてない、憧れているよ 嫌ったことなんてない、愛しているよ 私が好かれたい人は皆君が好き 私のトロフィーは押し入れに 君の賞状は玄関に 別にいいけどと友には言ってみせる 怒ったことなんてない、大切な人だよ 泣いたことなんてない、私の自慢だよ とにかくいつも人目を気にして とにかくいつも顔色を意識して とにかくいつも誰かに気を配る 優しく 時には面白く イメージ通りに期待通りに 女の子らしく自分らしくいよう 今日も仮面が私の代わりに呼吸する 誰も私を見ていない なのに仮面をかぶることない ありのままの君は皆を魅せる 私の方がきっとずっと優等生らしいよね? 全然大丈夫と友には強がってみせる 夢見たことなんてない、現実見てるよ 荒んだことなんてない、願う君の消失 「君さえいなければ」 毎日きっと楽しいよ 毎日きっと笑えるよ 友達沢山出来るよね 皆私を見てくれるよ 皆私を褒めてくれる 毎日もっと幸せだよ。 誰かは言った 「見た目似てるのに全然違うね」 誰かは言った 「家族なのに全然違うね」 私は思った 「君がいなければ」 その夜見た夢で 私は友達に囲まれ笑った 幸せそうに見えた でも私が怪我した時 友達は面倒そうに去ってしまった 独りの私は思い出した 小さな頃 顔色変えて手当てしてくれた君を その夜見た夢で 私は家族に褒められ笑った 幸せそうに見えた でも好物を食べたいと頼んだのに その日の夕食に好きな食べ物は一つもない 驚いた私は思い出した 数年前 私の好物を全部覚えていた君を その夜見た夢で 私は先生と話をして笑った 幸せそうに見えた でも先生は最後まで 私の仮面も悩みも目を逸らしていた 私は思い出した この間 朝までベッドの隣に座り手を握ってくれた君を その夜見た夢で 君がいない夢で 私は笑っていてとても幸せそうだった 本当に幸せそうに見えた 「君がいなければ」 毎日きっと嬉しいよ 毎日きっと笑えるよ 成績絶対上がるよね 皆私を見直すだろう 皆私を認めてくれる 毎日もっと幸せだよ。 いつも考えている 君がいない世界 そうなったら もし本当にそうだったら もっとたくさん満たされる もっと自分に正直になれて それを周りも受け入れる 私は誰とも比べられない 私はきっと好かれ頼られ たぶん未来も明るいよね だから君がいなければ もしも君がいなければ 毎日きっと寂しいよ...
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