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「そういや聞いた?サークルにめちゃくちゃ可愛い女の子が入って来たらしいよ?」
「へぇ。それどこ情報だ?確かな情報か?」
「今日四ノ宮が騒いでたよ。」
「しーのーみーやぁー?あいつの言う事で今まで正しかった事あるか?」
「いや、ないな。」
「だろ?どーせ適当な事言ってんだぜ。まぁでも気になるから久々に顔出してみっか。」
「俺はいいよ。興味ないし。」
「でーたーよー!またそれ? 」って言われなくても翔太の顔が物語ってる。呆れ顔で俺の顔を見たまま動かない。いつも大袈裟なリアクションをありがとう。俺がおまえの左隣に座るのと同じくらい、もう飽き飽きしたやり取りだ。
「おまえさぁ、せっかくイケメンなのに勿体ねぇなー。今まで何回告白された?それを何回断ってきた?なんか理由でもあんの?」
ある。思い切りある。それはもう絶対的な理由が。
「別に。苦手なんだよ、人と深く関わるのが。」
「はぁ……らしいっちゃらしいけどさ。おまえ昔っから俺以外とあんまり話さねーもんな。
ん?何で俺はいけんの?何で?何で?」
そう言って俺を見上げたりするもんだから、つむじよりも可愛い翔太の顔が見えて、俺は思わず目を逸らしてしまった。
「何で……だろな……。」
「はぁ?何だよその答え!色々あんだろ?ほら、話しやすいとか優しいとかさ!」
照れ隠しでわざと素っ気なく返した答えに、翔太は不満そうに言葉を並べる。自分で自分を真剣に褒めているその姿は中々だけれど、優しいってのは本当にそうだなって思う。
いつだって翔太は俺を助けてくれるし構ってくれる。口では煩く言いながらも何だかんだで側にいてくれる。
小学校3年の頃、親の転勤で引っ越して来た俺は転校生あるあるのイジメみたいなものにあっていた。イジメって言ってもちょっとからかわれたりとかそれくらいだったけど。元々ひとりでいるのが好きだったから、少しくらいの嫌がらせなんてどうでもいいなーくらいに思ってた。思おうとしていた。けどやっぱり嫌だった。
そんな俺を助けてくれたのが翔太だった。小学校の頃は俺より背も高くて身体も大きくて、日に焼けた真っ黒な肌と短い黒髪が印象的だった。
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