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「悪りぃ。悪りぃ。新歓コンパの打ち合わせが長引いちゃって。」
「何だそれ?打ち合わせなんて必要なの?」
「四ノ宮が色々うるせーんだよ。ほら、あいつまた彼女に振られたからさ。」
「新歓コンパ……行くの?」
「え?そりゃぁ一応さ……何だよ?心配なの?もしかして妬いてたりして?」
「うん。心配だし妬いてる。行って欲しくないけど仕方ないから、大人しく帰ってくるの待ってるよ。」
「ちょ、……あぁもう……おまえさ、あ、いや、遥希(はるき)……。」
自分で言ったくせにそうやって照れるの何なの?わざとなの?ってくらいに照れてる翔太はめちゃくちゃ可愛い。照れるとすぐに耳が赤くなるのは最近発見した事だ。
___
告白した日の夜、翔太からLINEが送られてきた。今から会える?って。
心臓がドクリと鳴って、その後深い溜め息が溢れ落ちた。
何を言われるかなんてだいたいの察しは付く。
翔太は優しいから、「おまえの気持ちには答えられないけどこれからも友達でいよう。」とか、そんなありふれた慰めの言葉くらいはくれるかもしれない。
それで十分だ。きっともう友達には戻れないけど。戻るつもりもないけれど。
夜の公園で、あの日の滑り台の前で、翔太はもぞもぞと落ち着かない様子でそこに居た。そして俺の顔を見るなり大きく息を吐いたと思ったら、
「正直めちゃくちゃ驚いた。まさかって思った。マジかって思った。いや、本当にマジで……。」
と早口でそう言って、もう一度、今度は小さく息を吐いた後で、
「それで……俺も……好きだと思う……多分、遥希の事。」
と呟やくようにそう言った。遥希だなんて初めて呼ばれた。いつもは おまえ とか、 なぁ! とか、そんなのだったから。
心臓が止まるかと思った。思ってもみない答えに驚き過ぎて、暫くそこに突っ立ったまま動けなかった。翔太が泣いていたあの日みたいに。
「マジ……?」
沈黙の後で何とかそう言葉を吐き出す俺に翔太は笑って、マネすんなよ。って言った。
公園からの帰り道、真剣な顔して、時折ひどく照れながら翔太は話し始めた。
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