62人が本棚に入れています
本棚に追加
「好きだって言われて正直驚いた。頭ん中めちゃくちゃになって色々考えまくって……けど、もし断ったらもうおまえと会えなくなるのかなとか。もう一緒にラーメン食えねぇのかなとか。そんな事思ってたら、そんなのは絶対嫌だって……。おまえが俺以外の奴と居るとこ想像したら耐えらんねぇし、おまえの事思い出したら何か胸ん中むず痒くなるし……こういうのって、もしかして好きって事なのかなって。今までとなりにおまえが居る事が当たり前過ぎて、ちゃんと考えた事なかっただけだったんだなって。だから、なんていうか、これからもずっと一緒に居たいなーって思ったりしてます。」
翔太はそう言い終えると俺の顔を真っ直ぐに見つめながら恥ずかしそうにはにかんで、頭をわしゃわしゃとかいた。
「本当にいいのかよ?俺、女じゃないんだよ?」
「そんなのわかってる。けど、仕方ねぇだろ。好きなもんは好きなんだから。おまえの事が好きだって思ったらもう男とか女とかそうゆうの、ビューンて飛び越えちまったんだよ。」
そう言って左手を飛行機みたいに空に向かって伸ばして翔太は笑った。
___
「名前で呼ぶのまだ慣れない?」
照れる翔太の顔を覗き込んで、俺はからかうようにそう言ってやった。翔太は俺の顔を見ないまま、黙って恥ずかしそうにうんうんと頷いた。欲張りな俺はもっと翔太の可愛い姿が見たくなってカウンターの下に手を伸ばす。
「おい、やめろって……バレたらどうすんだよ!」
「だったら離せば。」
「このやろう……離さねーよ!もうこのまま食ってやる!すいませーん!あ、醤油ラーメン大盛り一つと、遥希は?」
「味噌ラーメン下さい。」
告白したあの日から俺の定位置は翔太の右隣に変わった。ふとした瞬間や偶然を待たなくても触れる事が出来るようになった。隠れて手を繋ぎながらラーメンだって食える。
いつか俺の新しい定位置が今までの定位置を越える時は来るのだろうか。それとも、もう右とか左とかそんなの気にしなくたっていいのだろうか。
もしもそんな時が来るならば今日みたいに笑っていたい。
つむじが可愛い君のとなりで。
最初のコメントを投稿しよう!