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都会での日々は、彼女の面影すらも消してしまった。忙しく過ごしていくうちに、あのバス停での記憶も遠くなって、微かにしか思い出すことができない。多分思い出してはいけないのだろう。
そして、私はカオリではない別の人と結婚し、家庭を持った。悔しくはあるが、幸せでないといったら嘘になる。彼女を忘れることで、私は生きている。彼女を忘れることで、私は前に進めている。
あの青春の日々をふと思い出してしまったら呼吸を一つして、胸の奥底に閉じ込め、心からかき消す。
これで良いのだ。そう思いたい。
だから死が二人を分かつまで、
消えよ、青春。
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