消えよ青春

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「あんたって本当にカオリちゃん好きよね」 母がそんなことを呟きながら、呆れた表情で私の横に座った。だが、何故バレているのだ。この想いは誰にも言わず、ひた隠しにしてきたはず。そのため私は、この問題に対してとことん問い詰める必要があった。 「なんで知ってるんだよ」 「あ、やっぱり好きなんだ。あんたもチョロいわねー」 問い詰める間もなく、仕様もない真実がすぐ明らかになった。これだから母というのは嫌になる。まるで、自身の子供に付属する取り扱い説明書をじっくり読み込んでいたかのようにして、私を扱い、翻弄するのだ。その説明書通りに動いてしまう私も憎いのだが。そんなささやかな怒りに燃えていると、母がこう次に続けた。 「昔はしょっちゅう、結婚する結婚するってうるさかったわね、そういえば」 「...そんなこと言ってた?」 「言ってたねー、あんたもカオリちゃんも。覚えてないと思うけど」 子供というのは時に、ストレートにものを言う。それが子供らしさでもあり、大人にはない魅力なのだろう。半大人と化した今の私には、その純粋さがとても羨ましく感じられた。 「ていうか、あんた早く告白しなさいよ。相変わらず意気地がないわね」 くどい様だが、これだから母は嫌である。
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