消えよ青春

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12月も、もう終わる。新年が始まれば想いも新鮮さを取り戻し、新たな生活に思い馳せることだろう。 だが、別れのタイムリミットが近づいていることも忘れてはいけない。このままではこの恋心の消費期限もあっという間に切れて、変に腐るに違いない。ではどうするか。 「明日...か?」 早いに越したことはないだろうし。 帰りのバスにガタゴトと揺られ、窓ガラスの縁の埃汚れを見つめながら私は遂に作戦決行日を胸に決めた。その瞬間に心臓がバクバクと高鳴る。息も苦しくなる程に。こんなドラムの様に鳴られては周りの客にも迷惑だろう。私は誤魔化すようにふぅと大きな溜息を一つすると、それと同時に降車する駅を素通りした。 途中で雨が降り、緩んだ雪に足を取られながらもなんとか家までたどりつく。 家に帰ると父が仕事から帰ってきていた。ささっと夕飯の支度をし席に着く。手を合わせ今に食べようとしたとき、このタイミングを狙ったかのようにリビングの電話が奇妙に鳴り響いた。
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