哀しい記憶。

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「其処が、汝とユキの違いだ!己の犯した罪を、よく考えるが良い!」  マオは込み上げた怒りを吐き出す様にそう言うと、再びレイを氷像が如く凍らせた。感覚と意識だけを残され、身体中を突き刺さすかの冷気。最早、声すらも出ない。 「魂はまだ取らぬ……加減はしておる。頭を冷やす時をやろう」  静かに、そう言ったマオは背を向けレイより遠ざかった。レイは凍えながらも意識と感覚は残された。苦しみと哀しみに、涙が溢れる。だが、募る筈のユキへの憎悪が薄れていた。己を告発しなかった等と、俄に信じられるものでは無いが、マオは嘘を吐かない。真実だからこそ、其の逆鱗に触れたのだろう。より、苦しむ罰が与えられている己。こんな目に合っていると言うのに、ユキへの憎悪が無ければ、只弱い心ばかりが己の中で際立つ。 「だから、昔から、嫌いなん、だ…………ズーシュエ……」  己へ向けられたユキの笑顔と、嘗て見ていたズーシュエの笑顔が重なる。レイの瞳より溢れ落ちた涙は、凍ってしまった。
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