哀しい記憶。

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 マオはユキを真っ直ぐ見詰め、そう言った。 「ズーシュエも、ユキも、私には大切なひとつの魂……唯一無二のものなのだ」  強い声。ユキは、涙を流した。ズーシュエの影に怯えていた心が、消えていく。其れは、ズーシュエも己なのだと受け止めたのだ。ユキは、優しく見詰め返してくれるマオの頬へ触れたくて手を伸ばした。其の時、腕が強い光を放ったのだ。眩しさに、瞼を閉じたユキだったが、一瞬で収まった光に再び開かれた。 「消えたか……」  マオの呟きに、ユキは首を傾げた。そんなユキの腕を取ると、マオが微笑む。 「穢れた心より、解放された様だ……」  ユキは、何気に己の腕を見てみる。確かに、鱗が無い。しかし、何故。確か、其れは。 「あのっ!こ、此れをやったひと、生きているよね……」 「人では無い」  マオよりは、結構乾いた答えが帰ってきた。が、其れは聞き流して欲しい処。しかも、欲する答えではない。 「つ、突っ込まないで下さいっ……言ってしまうんです……あの!元気、なんですよね……?」
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