哀しい記憶。

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「……ああ。魂を取るか否かは未だ決めて居らぬ」  マオは、触れたくない話題に少々眉を寄せそう答えた。だが、其れとは逆に安堵から表情を和らげるユキ。 「良かった……」  ユキの反応は、マオには理解出来なかった。マオは神使、勿論心もあるが、善悪を理性的に判断せねばならない立場にあるからだ。其れから見ると、当の被害者で落ち度の無いユキの此の言葉は不可解だ。 「ユキ、何故良かった等と……悪しき心持つ者は、罰を受けねばならぬ。況してや、私の伴侶となる汝を陥れようとした者なのだぞ」  そう諭すマオに、ユキも頷く思いはあるのだろう。だが、其の表情から憤りは見えない。そんなユキの苦笑いと、照れ隠しか髪を軽く掻く仕草。 「うん……そう、なんだけど……別に、大怪我させられたとかじゃ無いし……な、仲良くなれないかなって……」 「仲良く……?」  ユキから出てきた不可解な言葉に、マオは更に眉間へ皺を寄せた。 「俺が嫌いにならなければ、友達になれるかも知れないから……何処だって、新人は色々あるものだし……まぁ、度を超えちゃ駄目だけどさ……」 「度を超えておる」  マオの声は強い。ユキに自覚は無いが、きっととても大きな事なのだろうと、ユキは一度俯いてしまう。
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