二十六歳、夏。

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二十六歳、夏。

「…というわけなんだ」  全ての突っかかりを、綺麗さっぱりなくした。  俺の摘みを君に、葉耶に懺悔した。 「全部、俺じゃないんだ。君が好きになった透弥でも、明るい透弥でもない。俺は、ただの偽物だ」 大粒の涙が、膝にこぼれ落ちる。  九年前、海に置いてきた感情が急速に戻ってくる。  全てを捨てる覚悟だった。もう嘘を付きたくない。  嘘は、疲れたよ。  
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