プロローグ

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 今日から自分は、べつの人間になる。  そして、目下の目標は、男娼として淫花廓に潜入することだ。  あまりに非現実的すぎて、いっそ笑えてきた。  大仏に背中を向け、会議室を出た途端、笑いは我慢できないほどになり、肩を揺すりながら小さな声をあげてしまった。    ひと気のない廊下に、自分の笑い声が少しの間、反響していた。  
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