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瞼を開くと、トリスタンの優しい瞳が目に映った。彼は前髪を梳くようにシャノンを撫でて、それから額にキスをした。
「大丈夫かい?」
労わるように訊ねられて、シャノンはこくりとうなずいた。手足はまだぐったりとしていて、呼吸も乱れたままだった。シャノンは横たわったまま彼を見上げ、訊ねた。
「私、どうなったの……?」
彼は穏やかに目を細めて囁いた。
「気をやった、と言うそうだ。オーガズムに達したんだよ。大抵の場合は快感を伴うものだけど、どうだった? 気持ちよくはなかったかい?」
「わからないわ……でも怖かった。頭がどうにかなってしまいそうだったの」
シャノンが正直に打ち明けると、彼はまた、優しく髪を撫でた。
「まだ続けられそうかな。これからきみは何度も今の怖い思いをすることになるんだけど」
シャノンは唇を噛んだ。確かに怖かったけれど、同時に言い表せないほどの衝撃が——快感があった。なぜだかわからないけれど、シャノンはまたあの感覚を味わいたいと思っていた。
「続けるわ。でもお願いがあるの。次は、私を抱き締めていて……?」
「仰せのままに、お姫様」
そう言うと、彼はシャノンと唇を重ね、ふたたび茂みに分け入った。
シャノンは不可思議な感覚に陥っていた。密やかなあの箇所が、お腹の奥が切なく疼き、何かに満たされたいと訴えているのだ。やがてシャノンの思考は唐突に、彼女の身体が求めているものが何なのか、その答えに辿り着いた。彼の指が、シャノンのなかに埋められたことで。
——ああ、だめ……だめよ。そんな、はしたないわ。
シャノンはふるふると首を振り、彼に向かって手を伸ばした。彼はすぐさま身を屈め、シャノンの要求に応えてくれた。逞しい身体が、シャノンの身体を包み込む。
「大丈夫、きっとすぐに良くなるよ」
彼は耳元で囁いて、彼女のなかをゆっくりと探った。くちゅり、くちゅりと水音がする。それはとても淫靡な音で、シャノンを酷く淫らにさせた。緩慢な動きがもどかしくて、彼女は自ら腰を揺らした。切なく疼くその場所を、はやくみつけて欲しかった。彼女の動きに気が付いたのか、彼は身をもたげ、彼女のなかを探りながら、さきほど成熟した彼女の蕾をもう一方の手で攻めはじめた。
シャノンは彼の首に腕を伸ばし、縋るようにキスを求めた。すぐさま彼の唇がシャノンの唇を覆う。ふたりは我を忘れ、互いの唇を、舌を貪った。
「……スタン、怖い……怖いの……」
喘ぎながら訴えても、彼は攻めるのをやめなかった。彼はシャノンの耳元で熱い溜め息を吐き、囁いた。
「大丈夫、イッて。ぼくはここにいるから」
シャノンはうなずいて、己のすべてを受け入れた。快感の波がふたたび押し寄せる。背中を弓なりに反らして、彼女は解放のときを迎えた。強張った筋肉が痙攣し、動くこともままならない。彼が優しく背中を撫でた。
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