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まだ陸上を始めたばかりの中1男子だからこそ、小学生から陸上を始めていた私とタイムを競い合えるのだ。お互いそこそこのタイムは出せていたし。だからこそ私達は弱小陸上部では浮いていた。ちょうどいいライバルてやつだ。
県大会にはどちらも進めなかったけれど、私はモスをなぜかしら奢らせられていた。いよ、タイムは私が速かったはずた。何かがおかしい。
そんなことを考えながらモグモグしていると左に座っていた奴が鞄から何かをごそごそと取り出していた。
「ほい」
そう言って差し出されたのは左耳用のイヤホン。その先には右耳用のイヤホンを奴が耳につけていた。
「まぁ、敗退のブルースだ」
私は静かに左耳にイヤホンをつける。
まだ何もかかってない。まるで、奴の心音が聴こえるようだ。よくわからない感情に振り回されそうになると。。。
「ぎゃははははは」
とやたらテンションの高い笑い声がひたすら続く。
つられて私も笑い、奴がニヤリ、とする。
これだから、奴の背中ゼッケンは、私がつけなくては。
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