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(まぶしい…)
目を開けると、懐かしい自分の家の自分の部屋に居た。
「そうだ、夕べ帰ってきたんだった。」
大学卒業後就職して1年、
自分なりに無我夢中で働いてきた。1人暮らしは寂しかったが、こんな私でも、私の事を理解してくれる同僚の存在に気付いた。するとなんだか急に心が暖かくなって、ようやく実家に帰る気持ちになれたのだ。というか、両親が恋しくなって帰って来た感じかな。
ベッドの枕元には飼い猫のマロンが居て、私の顔を覗き込んでいる。
起き上がり時計を見ると、もうお昼過ぎだった。
ほぼ1年ぶりに帰ってきたけど、部屋の中は全然変わってない。
ベッドにタンス、そして机までも、家を離れた時のままである。
立ち上がって、廊下に出るとそのまま階段を下り、リビングに入った。後ろからマロンも付いて来て、私の横を追い越し、ソファの上に飛び乗った。まるで、ここは俺の場所だから、座るなという感じだ。
誰も居ない。
「仕事に行ってるよね。」
窓の外には、春の暖かな日差しと変わらない懐かしい庭の風景があった。しかし、家族の居ないリビングは、どこか物寂しい感じだった。
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