サプライズ・アタック

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サプライズ・アタック

 三月十四日、ホワイトデー。  お土産を手にアパートへ帰ると、彼女は先に戻っていたらしく、こたつに入りながらテレビのバラエティ番組を見ている最中だった。 「あ、おかえり~! 早かったね?」 「うん。途中でレアチーズケーキを買ってきたんで、急いで帰ってきたんだ。良かったら早速食べない?」 「食べる食べる~!」  お土産が自分の好物と知ってテンションが上ったのか、彼女が「じゃ、お茶淹れる」と立ち上がろうとしたのを手で制す。 「いいよいいよ。一応、ホワイトデーのお返しだし。あと、ついでにレアチーズに合う紅茶も買ってきたんだ。お茶も僕の方で淹れるから」 「え、そう? ……じゃあ、お言葉に甘えて」  案の定、彼女は食い下がらずに「こたつの住人」を続けた。  他人の遠慮というものをそのまま受け止める所は、彼女の美徳であり欠点でもあるんだけど……今の僕の「目的」には、それがとても好都合だった。
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