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――彼女は、ナゾナゾやクイズを考えるのが大好きだ。
難解なものから簡単なものまで、色々な問題を考えては僕に出題してくるのだけど……ただ出題するだけではないのが、玉に瑕だった。
例えば、部屋のどこかに何かを物を隠して、その在り処を暗号文で記したりするのだ。
イタズラ程度なら可愛いものなんだけど、前に財布を隠された時は大変な目にあった。隠し場所を難解な暗号問題で教えられたんだけど、結局見つからなくて、その日の予定をキャンセルする羽目になった。
丁度一ヶ月前のバレンタインの時も、チョコの在り処を示したナゾナゾが解けなくて、彼女にしてやられていた。
――今日僕は、ホワイトデーにかこつけて、その仕返しと言うかお返しというかを、やろうとしているのだ。
僕が買って帰ってきたレアチーズケーキは、きちんとした店のきちんとした職人の手によるものだけど……実は、ただのケーキではない。
知り合いの職人さんに頼んで、とあるサプライズが仕掛けてあるのだ。
二つあるケーキの片方には、プラスチック製のカプセルが目立たないように入っている。そしてそのカプセルの中に、彼女を「あっ」と言わせるプレゼントを入れてあった。
ケーキをお皿に移し、彼女の前にカプセル入りのケーキを、ごくごく自然な動作で置く。見た目は僕の方のケーキとまるっきり一緒なので、彼女が異常に気付ける訳もない。
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