0人が本棚に入れています
本棚に追加
「じゃ、お茶淹れるから。ちょっと待っててね」
「は~い」
そして彼女は、「先に食べてるね~」なんて行儀知らずなことをしない人だ。
お茶を淹れている間にサプライズがバレる、なんてタイミングを外した事態には決してならない。
ヤカンを火にかけながら、背中越しに彼女の様子を伺うが、怪しまれている様子はない。
「今回はうまくいきそうだ」。コンロの火を見つめながら、僕は一人ほくそ笑んでいた――。
「お、この香り……アールグレイだね!」
「ご明答。この店のレアチーズは、アールグレイとよく合うからね」
二人分の紅茶を淹れて、僕もようやくこたつに落ち着く。
「じゃ、いただきま~す!」
「はい、いただきます」
二人で行儀よく手を合わせ「いただきます」をして、ドーム型のレアチーズケーキを食べ始める。
カプセルは誤飲防止の為に、少し大きめになっているから、食べ始めればすぐに気付くはずだけど――。
最初のコメントを投稿しよう!