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「で? そのカプセル、中身は何なの?」
最早遠慮なしとばかりに、彼女が僕のケーキから、フォークを使って器用に白いカプセルを取り出してみせる。
……この状況で中身を見られると、凄く恥ずかしい。けれども無情にも、彼女はカプセルをパカっと開けて――
「――あっ」
中身を見た途端、今まで僕が見たことも無いような、とてもびっくりした表情を浮かべた。
「これって――」
「……だから、サプライズで渡したかったんだよ」
――カプセルの中に入っていたのは、指輪だった。それもただの指輪じゃない。
大きなダイヤモンドをあしらった、特別な指輪だ。
「え~と。これって……どの指にはめればいいのかニャ?」
あまりにもびっくりしたのか、彼女の語尾はなんだかおかしくなっていた。
僕はそんな彼女の様子に苦笑いを浮かべながら、一旦、彼女の手から指輪を受け取ると――
「そりゃあ、もちろん。この指にはめてほしい」
指輪をそっと、彼女の左手薬指にはめるのだった。
(了)
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