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表現したい事を唯々素直に表現した愛すべき作品
…――僕はいつも死にたいと思っている。
いつからだろう。
もう記憶の果てに行ってしまい、どんなきっかけで、どんな理由があって死にたいと思ったのか思い出せない。色んなところで言われることだけども、僕が死んだところで、この世が崩壊する事などなく、なに事もなく平穏無事な日常が続いてゆくんだろう。
太陽からの温かい陽光が瞳の中へと、するりと侵入してきて僕は思う。
空を見上げる。
君もきっとこの青い空の下で今日も息をしているんだろう。
あった事もない、声も聞いた事もない君が。
と。
思うんだ。人間は生まれて死ぬ。生まれる事も拒否できないし、死ぬ事も避けられない。だったら仮に愛おしい人と出会って一緒に居たいと思ってしまって一緒になる事ができても、死ぬ事が避けられないならば……、いつかは必ず別れがくるんだろう?
望もうとも、望まなくても。
別れは悲しい。
別れは切ない。
だったらさ。出会わない方がいいし、一緒になんてならない方がいい。
もし出会ってしまったら忘れればいい。近づかなければいい。敢えて距離を取る方がいい。僕のように「死にたい」と常々思っている人間は特にそうした方がいい。だって人間の思考は実現化するんだからさ。願えば叶うんだ。
つまり常々死にたいと思っている僕は他人よりも高確率で死ぬ可能性が高い。
もちろん願っただけじゃ死なないよ?
ただね。
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