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ご飯を食べたいと思わない人間が食べる事に執着しないように、寝る事よりも遊んでいたい思う人間が寝る時間を削るように、死にたいと願う人間も、また『となりには常に死が潜んでいる』んだと思うよ。少なくとも僕は短い人生の中で……、
三回の自殺を敢行して、その内、一回は死と手を繋いでしまった事がある。
もちろん手を繋いだだけで直ぐに冷たい手を振りほどいたよ。
死神が舌打ちしたさ。
チッってね。
だからこそ、僕は人よりも死ぬ確率が高いって思う。
そんな人間と一緒にいると愛しき人もまた不幸になる。不幸になるだけならば、まだいいさ。さっきも言ったけども別れは悲しいし切ない。愛しさが増せば増すほどに哀しさは加速度的に増えていき、時に愛おしき人まで死の淵へと引きずり込むんだろう。
僕はまた空を見上げる。
小さな鳥が羽ばたき大空へと消えてゆく。
雲一つない青空に溶けて。
君がいるそこは晴れているかい? それとも曇ってる? 雨かな?
雲は?
そしてまた思う。
死にたいという負の言葉は周りも不幸にする。死にたいという表現自体がマイナス的な力を持っていて、そのマイナスは、まるで蟻地獄のような性質を持っている。つまり誰かに『自分は死にたいんだ』と打ち明ければ打ち明けた人まで暗い気持ちにさせる。
暗い気持ちは伝播するって事だよ。
だから。
僕は誰もいないところで、誰も聞いてないところで、たった独りつぶやき続けるんだ。
…――死にたい。ってさ。
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