六章 仕立て屋と衣装決め

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  「リューティス様と対にするために、ドレスには小粒の王蒼魔石を縫い付けなさい」 「かしこまりました。……あの、イヴァンス様のお衣装はどうなさるのですか?」  アグネスはおずおずと訊ねた。衣装を対にするのなら、同じ仕立て屋かもしくはその仕立て屋とつながりのある他の仕立て屋に頼むべきである。そうすれば、意匠を決める時点で打ち合わせが容易にできるし、仕立て始めてからの互いの微調整も簡単であろう。 「あぁ、リューティス様の衣装はエルフ族が作るそうです」 「……は」  アグネスは中途半端な声を上げて、こちらを見た。リューティスの顔を見て、耳を見て、もう一度顔を見て、はっとした様子で目をそらして勢いよく頭を下げた。 「申し訳ございません!」 「……いえ」  彼女が少々混乱していることは、初対面のリューティスにも伝わってきた。 「僕はハイエルフとの混血です。耳の形は完全に人間族ですが、その他の身体的特徴はエルフ族に近いそうです」  アグネスはぱっと顔を上げた。 「……左様でございましたか」 「はい。その関係でエルフ族の王族の衣装で婚約式に臨むことになっております。早めに仕立てていただくことになっておりますので、調整はその後となります」 「かしこまりました」 「よろしくお願いいたします」  リューティスは頭を下げるのをこらえて、小さくうなずくにとどめた。ここで頭を下げてしまえば、アグネスを困らせてしまうだろう。 .
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