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ユリアスならば、どのようなドレスであっても美しいだろう。しかし、己と対になるようにと彼女が考えてくれることがうれしい。
それから一時間程度、アグネスと話し合いを続け、その後、別室でユリアスの採寸を行った後、アグネスは帰って行った。
時刻は午後三時を回ったところである。日暮れまではまだ少々時間がある。
「リュース君」
夫人が席を外すと、先ほどまでの令嬢らしい口調とは打って変わって、ユリアスはいつものようにリューティスを呼んだ。
「はい」
「あの、もし時間があればなんだけど……、勉強を教えてくれませんか?」
彼女は世界一の学園と名高いニアン学園の中でも、成績が優秀な特待生である。しかしながら、学園の授業の難易度はそれ相応だ。仕事と趣味を兼ねて読書を趣味としているリューティスはさておき、一般的な少年少女にとっては難しい内容であろう。
ユリアスはそんな授業の内容を予習し、それから授業に臨んでいる。時折、復習を行っていてわからないことが出てくるときもあるようだが、彼女の質問は基本的には予習の段階で生じた疑問である。
「わかりました」
「ありがとうございます!」
ぱっと笑顔を浮かべた彼女に見惚れかけて、目をそらす。未だに彼女の笑顔は眩しくて直視しがたい。
「じゃあ、庭園に行こう?」
彼女に手を引かれ、部屋から出る。そのまま彼女に庭園へと連れ出された。
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