閑話 弟子と弟

3/10
25046人が本棚に入れています
本棚に追加
/2323ページ
  「うーん」  首をひねる。遠慮しているつもりはないが、ほとんど参加しないクレーネーをパーティーに加えても、クレーネーだけギルドランクが離れてしまう可能性があることを考えると、今後、少しずつ彼らの足を引っ張ってしまうかもしれない。  そんなことを伝えると、彼らは渋々納得してくれた。  クレーネーが今、臨時所属しているこのパーティーは、普段はもう一人、メンバーがいるらしいが、そのメンバーが帰郷で一時首都を離れているため、人数が足りずに臨時メンバーを募集していたと聞いている。あと一月もしたら戻ってくるらしいが、そのメンバーが戻ってきてからも、クレーネーが学園に入学するまでは一緒に依頼を受けようと約束している。  ふらふらと南の門からギルド“竜峠”に向かいつつ、途中、大通り沿いに立ち並ぶ屋台で串焼きを購入した。朝夕は自炊をし、昼も適当に作った物を依頼先に持参して食べているが、西の空が茜色に染まるこの時間、どうしても空腹に耐えきれず、何かしら買ってしまうのだ。 「よく食べるな」 「だってお腹空くもん」 「まぁなー」 「それはそうだけど」  エイルもジェイソンもシェリーも、成長期の食べ盛りである。彼らもよく食べるのだ。 「金、よくなくならないな」  クレーネーは食費を己の師からもらっている。しかし、実はそれにはほとんど手を付けていない。  師匠が契約してくれて家賃も支払い済みの部屋で生活し、安い食材を買い込んで自炊をしている。魔導機に使う魔力のほとんどは自分自身の魔力で補えており、自分の使えない属性の魔力に関しては師匠が魔力を目一杯補填してくれているため、魔力を購入する必要もない。  だからクレーネーは現状、金銭的に余裕があり、少しずつ貯蓄を増やしているところである。  串焼きを食べ終わる頃、ギルド“竜峠”にたどりついた。ギルドの中は、今日も少年少女でにぎわっている。このギルド“竜峠”は、師匠に聞いたところ、駆け出しから中堅の冒険者が利用する中規模ギルドらしい。丁度、Dランクになりかけの冒険者からCランクぐらいまでの冒険者がほとんどだ。 .
/2323ページ

最初のコメントを投稿しよう!