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受付の列に並ぶ。前に並んでいる少年が目に入った。少し華奢なその少年はきれいな蒼い髪をしていた。
その少年がなぜか気になり、その後ろ姿を見つめていると、不意に少年が振り返った。
「あっ……!」
思わず声を上げてしまうほどに驚いた。
少年は端整な顔立ちをしていた。そしてその顔立ちには非常に見覚えがあった。
蒼い目が何事かとこちらを見る。その瞳の色合いは親しみ深いそれと全く同じだった。
「クレーネー?」
隣にいたジェイソンが不思議そうにこちらを覗き込んできた。目の前にいるその少年も不思議そうに首を傾げている。その仕草にも覚えがある。
「師匠……、リュースさんの弟……だよね?」
「え!?」
蒼い少年は目を大きく見開いた。
「お兄ちゃんを知ってるの!?」
「え、うん」
うなずくと強い力で肩を掴まれた。
「お兄ちゃんどこにいるの!? 元気にしてるの!?」
「え? 今首都にいるよ……?」
クレーネーは目をしばたたかせた。師匠は弟にまだ会っていなかった様子である。
「え……」
師匠の弟の手が緩んだ。クレーネーはちらりと前方に視線を向ける。師匠の弟の隣に並んでいた少女がこちらをちらちらと見ていた。
「どうして……」
「え、えっと、それは師匠……リュースさんから聞いて」
婚約についてはクレーネーの口から話していいことなのかわからない。さすがに婚約をすることは親に話に行くだろう。そうすれば師匠の弟の耳にも入るはずだ。
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